
はじめに
認知症の利用者さんでは、経過の中で感情が高ぶったり、怒りが強く表出したりする場面がみられることがあります。
予防をしていても、防ぎきれない瞬間はあります。
大切なのは、そのときにどう対応するかです。
認知症の行動・心理症状(BPSD)には、非薬物的対応を優先し、感情に注目しながら安全を確保することが勧められています。
ここでは、現場で避けたい対応を5つ紹介します。
(参考:Alzheimer’s Association, HIGN.org, PMC review)
納得させようとする
激怒しているときは、不安や怒りが強く、説明や説得が入りにくい状態です。
正しさを伝えようとするほど、かえって刺激になることがあります。
まずは反論よりも、落ち着いた声と短い言葉で安心を伝えることが大切です。
「大丈夫ですよ」「ここにいますからね」など、感情に焦点を当てた声かけが効果的です。
(Alzheimer’s Association)
「なぜ怒っているのか」を問い詰める
「なんで怒ってるんですか?」という聞き方は、責められているように感じさせることがあります。
怒りの背景には、痛み・不安・混乱・疲労・排泄ニーズ・環境刺激などが隠れていることがあります。
まずは原因を探る視点を持ち、
- 痛み
- トイレ
- 暑さ寒さ
- 騒音
などを確認しましょう。
(PMC review, HIGN.org)
身体を押さえつける
押さえつける対応は、恐怖や抵抗を強め、双方のけがにつながるおそれがあります。
身体拘束は高齢者や認知症の人にとって不利益が大きく、興奮を悪化させることもあります。
まずは距離を取り、危険物を遠ざけ、必要時は周囲に応援を求めて安全を確保しましょう。
(HIGN.org, PMC review)
感情的に言い返す
怒鳴られると、こちらも感情が動きます。
しかし、感情的に言い返すと、利用者さんの不安や恐怖をさらに強めることがあります。
認知症では、自分の状態や言動への気づきが低下している場合もあります。
まずは職員側が声の大きさや表情を落ち着かせることが大切です。
(PMC review, Alzheimer’s Association)
真正面から否定する
もの盗られ妄想などで「あなたが盗んだんでしょ!」と言われたとき、
すぐに「私じゃありません」と返したくなることがあります。
しかし、真正面から否定すると、かえって混乱や不安を強めることがあります。
本人にとっては、その不安や疑いが切実な現実として感じられているのです。
事実で争うより、まずは不安な気持ちに寄り添い、安心できる声かけを優先しましょう。
(Alzheimer’s Association)
まとめ
認知症の利用者さんの激怒の背景には、
「分からない」「不安」「痛い」「怖い」などの苦痛や困りごとが隠れていることがあります。
避けたい対応を知っておくことで、利用者さんの不安を最小限にし、
安全で穏やかなケアにつなげやすくなります。
(PMC review, Alzheimer’s Association)